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平成27年度Lectureship Award受賞者の決定

平成27年度の第17回Lectureship Awardに推薦された研究者について慎重に審査を行った結果、下記の研究者が出席委員全員の合意で承認された。また同日行われた役員会において受賞者候補として承認されたので、ここに報告する。

第17回Lectureship Award 受賞者

Marie Pierre Krafft 教授(First Class Research Director of Charles Sadron Institute (CNRS) and University of Strasbourg)

Gao Qing (Max) Lu 教授(Provost and Senior Vice-President of University of Queensland)

選考理由

Krafft 教授(1960 年生)は、フランスCNRS のシャルル・サドロン研究所とストラスブール大学のFirst Class Research Director で、フッ素系界面活性剤の合成と、それによる多様なマイクロ・ナノ秩序構造の自己生成の研究に関して、世界をリードしている研究者である。
Krafft 教授は、1989 年にフランスのニース大学で学位を取得後、1995 年に同大学でHabilitation を取得し、カリフォルニア(1990 年)と日本(1996 年、名古屋大学)で博士研究員を務めた後、ニース大学で研究グループを立ち上げると共に、シャルル・サドロン研究所の研究グループに加わった。Krafft 教授は、フッ素系の界面活性剤により、単分子膜、エマルション、ベシクル、チューブ、マイクロバブルなどの構造が生成することを見出しており、最近では、フッ素系界面活性剤の医療応用を目指して、血液中の酸素輸送、超音波診断、肺サーファクタント、細胞の基盤への接着制御、ナノ粒子の組織化による階層構造デバイスの研究などで、先導的な成果をあげている。120 報余の原著論文に対する総引用数は3,000 以上で、国際会議における招待講演は50 回を超える。また、Current Opinion in Colloids and Interface Science のSection Editor、the Journal of Fluorine Chemistry のEditorial Board を務めており、the Henri Moissan Prize(Fluorine Chemistry)のInternational Scientific Committee、International Symposia on Blood Substitutes のScientific Committee、French Network on Fluorine Chemistry のExecutive Committeeのメンバーでもある。
以上のように、Krafft 教授は、フッ素系界面活性剤の先駆的な基礎研究から医療応用に至るまで、極めて質の高い研究成果を挙げておられ、本部会のLectureship Award を受賞するにふさわしいと認める。

Lu 教授(1963 年生)は、現在オーストラリアのクイーンズランド大学で副総長(Provost and Senior Vice-President)としての職責を担っている。2003 年から2009 年までオーストラリア研究評議会(AustralianResearch Council ; ARC)の所長を務めた経緯から、現在でも精力的に研究に携わっており、オーストラリア を代表する界面化学・ナノ材料化学分野のリーダーの一人である。
Lu 教授は、クイーンズランド大学化学工学部で博士課程を修了後、シンガポールの南洋理工大学の講師を務めた後、1994 年にクイーンズランド大学に戻り、上級講師、准教授などを経て現在に至っている。Lu教授は表面化学に関する基礎研究を土台として、高活性な単結晶二酸化チタンの新規合成法の開発をはじめ、分離膜、光触媒、エネルギー貯蔵材料などの多方面にわたる材料の開発を行ってきた。540 報以上の原著論文に対する総引用回数は27,000 回以上で、この分野に多大な貢献をしていることがわかる。これらの業績により、オーストラリア科学アカデミー(AAS)、オーストラリア化学工学協会(IChemE)、オーストラリア技術科学工学アカデミー(ATSE)からフェローに選出されており、2011 年にはオーストラリア・ニュージーランド化学工学連合からChemeca Medalを、また2013 年にはオーストラリアクイーンズランド政府からQueensland Great 賞を受賞している。
以上のように、Lu 教授は、界面化学を土台としたナノ材料化学分野で基礎から応用までを網羅する、極めて影響力の大きい研究成果を発信し続けておられ、本部会のLectureship Award を受賞するにふさわしいと認める。

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