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平成26年度科学奨励賞および技術奨励賞受賞者の決定

当部会の平成26年度 Lectureship Award、部会奨励賞(科学奨励賞,技術奨励賞)の選考委員会が,平成26年1月28日に化学会館にて開催され,推薦された候補者(Lectureship Award1名、科学奨励賞8名,技術奨励賞1名)について慎重に審査を行った結果,下記のとおりの方々が出席委員全員の合意で選出されました。また同日行われた部会役員会において,受賞者として承認されたのでここに報告します。

第13回 科学奨励賞 受賞者

西 直哉 氏  京都大学大学院工学研究科 物質エネルギー化学専攻
「イオン液体界面における構造とダイナミクスの多角的な界面分光法による研究」

鷺坂将伸 氏 弘前大学大学院理工学研究科
「二酸化炭素を溶媒とした機能性分子集合体の形成とその応用に関する研究」

第11回 技術奨励賞 受賞者

椛島真一郎 氏 ライオン株式会社 研究開発本部 機能素材研究所
「高分子・超分子を用いた機能性配向分子膜とその応用研究」

選考理由

西氏は、イオン液体界面における構造およびダイナミクスを、第二高調波発生法(SHG)、X 線反射率法(XR)、分光エリプソメトリー(SE)、表面プラズモン共鳴法(SPR)などの界面選択的な分光法を多角的に用いて解明した。イオン液体界面、特に水との界面の構造については理論研究が先行し実験的研究がなかった状況において、同氏は波長可変フェムト秒レーザーを用いた高精度のSHG、放射光を用いたXR、実験室レベルのSE を駆使し、イオン液体がその界面において分子性溶媒には見られないイオン多層構造を形成していることを見出した。さらにこの多層構造内におけるイオン並進ダイナミクスはバルク粘度では説明できないほど遅いことを、SPR を用いた追跡により明らかにした。このように、学問的側面のみならず応用面からも近年注目されているイオン液体について、その界面という新規の対象系を選び、複数の界面選択的分光法および申請者独自の解析手法を多角的に活用することにより、世界に先駆けて界面の構造およびダイナミクスを解明したことが高く評価された。
同氏の業績は、45 報の論文としてPCCP, Langmuir, J.Phys. Chem. などの国際誌に公表され、コロイドおよび界面化学討論会、NCSS2010 やIACIS2012 などの関連国際会議でも継続的に発表している。また、25 年度からは部会の若手WG メンバーに加わっている。
今後も当該分野の研究をますます発展させ、またコロイドおよび界面化学部会活動においても先導的役割をしていただくことを期待して、ここに推薦するものである。

鷺坂氏は、コロイド界面化学と超臨界工学を基礎とし、一貫して超臨界CO2 中での分子集合体の形成と応用に関する研究を行ってきた。界面活性剤逆ミセルにより、超臨界状態のCO2 中に無数のナノ水滴を熱力学的安定に分散させた水/CO2 マイクロエマルションは、環境調和技術や省資源・省エネルギー技術の観点からも注目されているが、過去に試された界面活性剤のほとんどは水可溶化能が低く、実用にはほど遠かった。同氏は、独自の界面活性剤の設計指針を築き、過去最大の水可溶化能を持つ水/CO2 マイクロエマルション系を次々と発見した。同氏の研究は、環境・省エネルギーの観点からの工学的意義と、超臨界流体という次世代溶媒に対する界面化学の立場からの研究という理学的意義を兼ね備えている点が高く評価された。また、同氏はこれら一連の研究の過程において、ブリストル大学やニース大学と日英仏の国際共同研究チームを作って共同研究を行うなど、国際的にも活躍している点が評価された。
同氏の業績は、約30 報の論文としてLangmuir を中心とする国際誌に公表され、総説も数多く執筆している。また多くの招待講演に加えて、最近はコロイドおよび界面化学討論会でも継続的に発表している。
今後も当該分野の研究をますます発展させ、またコロイドおよび界面化学部会活動においても先導的役割をしていただくことを期待して、ここに推薦するものである。

椛島真一郎 氏は、ライオン株式会社に所属し、界面化学・高分子化学を応用した素材開発に携わってきた。特に、アニオン/カチオン/疎水性の3 元構造ポリマーの配高分子膜を用いた耐久性の高いガラス防曇剤の設計、側鎖末端にメチル基を持つグラフト構造ポリマー(アルキルペンダントポリマー)の高配向膜を用いた低剥離性を持つ背面剥離剤の設計、コアシェル型ハイパーブランチポリマーを用いた除放性の内包カプセルの設計、さらに両親媒性スルファミド誘導体の高配向「超分子ナノシート」を開発し、気密性と刺激応答によるリリース機能を持つ超分子膜を実現したことが高く評価された。このように、同氏は高分子の構造設計に基づく界面物性の制御により、家庭品・化学品の機能化に貢献する素材を提供しており、これら高分子構造と界面物性に関する知見は、表面・界面の機能化を目指した素材研究の幅を大きく広げるものである。
同氏はまた、2009 年から東京大学生産技術研究所において、両親媒性スルファミド誘導体を用いた超分子の研究に従事し、2013 年に工学博士の学位を取得した。それらの成果は、Langmuir やJ. Colloid InterfaceSci. などの国際誌に筆頭著者として発表している。
今後も当該分野の研究をますます発展させて産業科学技術の発展に大きな寄与をしていただくこと、またコロイドおよび界面化学部会活動においても先導的役割をしていただくことを期待して、ここに推薦するものである。

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