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平成27年度科学奨励賞および技術奨励賞受賞者の決定

当部会の平成27年度 Lectureship Award、部会奨励賞(科学奨励賞,技術奨励賞)の選考委員会が,平成27年1月23日に化学会館にて開催され,推薦された候補者(Lectureship Award2名、科学奨励賞4名)について慎重に審査を行った結果,下記のとおりの方々が出席委員全員の合意で選出されました。また同日行われた部会役員会において,受賞者として承認されたのでここに報告します。

第14回 科学奨励賞 受賞者

大場 友則 氏 千葉大学大学院理学研究科
「ナノ制御空間中での特異的分子間相互作用の発現」

酒井 健一 氏 東京理科大学理工学部工業化学科
「固/液界面に対する機能的な両親媒性物質の吸着挙動解析」

選考理由

大場友則氏は、ナノスケールの界面で挟まれた空間における分子挙動や構造を、X 線散乱や分子動力学シミュレーション等を駆使して解明してきた。特に、超臨界メタンをカーボンナノホーン(NHs)に導入すると高い吸着密度を示す要因が、メタン数分子からなるクラスター形成によることを示したこと、酸化処理によりゲートサイズを制御したNHs によってCO2 やCH4 などが分離されることを示し、グラフェンが最も薄い分子分離膜になり得ることを示したこと、カーボンナノチューブ(CNTs)内に水が導入されるときと放出されるときでクラスター構造および安定性が異なり、それがCNTs 内の水の輸送機構を支配していることを示したこと、CNTs 内で形成される水クラスターのサイズが0.8 - 3.4 nm で、0.8 nm が基本単位のサイズであることを明らかにしたこと、食塩水がCNTs 内に閉じ込められるとイオンの水和が促進されることを見出したことなどが、高く評価された。
同氏の業績は、113 報の論文としてJ. Am. Chem.Soc.、J. Phys. Chem.、ACS Nano などの国際誌に公表されており、著書・総説も数多く執筆している。また、コロイドおよび界面化学討論会、日本化学会春季年会、IACIS2012 などにも継続的に発表している。
今後も当該分野の研究をますます発展させ、またコロイドおよび界面化学部会活動においても先導的役割をしていただくことを期待して、ここに推薦するものである。

酒井健一氏は、一貫して機能性を有する両親媒性物質のシリカ/水溶液界面などの固/液界面に対する分子吸着層のAFM・QCM-D などによる評価を行っており、加えて低環境負荷あるいは高付加価値を有する新規両親媒性物質の開発や、省資源な乳化物調整法の開発などを行ってきた。特に、ジェミニ型界面活性剤を微粒子分散系の安定化剤、あるいは固体表面の改質・コーティング剤として利用することを目的として、固/液界面に対する吸着挙動を評価し、単鎖の界面活性剤との混合系において、ジェミニ型界面活性剤が選択的に吸着されることを示したこと、シリカとイオン液体の界面付近でイオン対が自発的に形成する積層構造が、オキシエチレン型の非イオン界面活性剤の添加により乱され、最終的に非イオン界面活性剤の吸着層に置換されることを示したこと、ジェミニ型界面活性剤/水系が、長鎖アルコールの添加によりα-ゲルを形成することを初めて示したことなどが、高く評価された。
同氏の業績は、111 報の論文としてLangmuir、J.Colloid Interface Sci. などの国際誌に公表され、著書・総説も数多く執筆している。また、コロイドおよび界面化学討論会、NCSS2010、IACIS2012 などにも継続的に発表しており、NCSS2010 やコロイドおよび界面化学討論会の実行委員も務めている。
今後も当該分野の研究をますます発展させ、またコロイドおよび界面化学部会活動においても先導的役割をしていただくことを期待して、ここに推薦するものである。

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