HOME >> 賞関連情報 >>平成28年度科学奨励賞および技術奨励賞受賞者の決定
当部会の平成28年度 Lectureship Award、部会奨励賞(科学奨励賞,技術奨励賞)の選考委員会が,平成28年1月22日に化学会館にて開催され,推薦された候補者(Lectureship Award2名、科学奨励賞5名、技術奨励賞3名)について慎重に審査を行った結果,下記のとおりの方々が出席委員全員の合意で選出されました。また同日行われた部会役員会において,受賞者として承認されたのでここに報告します。
武仲 能子 氏 産業技術総合研究所
「高アスペクト比金ナノロッドの高収率合成法の開発と応用可能性の拡大」
村上 良 氏 甲南大学
「液体の粉体化についての研究」
五十島 健史 氏 三菱化学 科学技術センター
「コロイド・界面・ソフトマテリアルが織りなす複雑液体の視点からの商品開発 〜エレクトロニクス材料からヘルスケア材料まで〜」
武仲氏は、それまで高々400 nm 程度の長さであった金ナノロッドに対し、1μm を越える高アスペクト比の金ナノロッドを90% を越える高収率で合成する手法を開発した業績が高く評価されました。ゲル中で生長させる手法を開発し、結晶化しにくい界面活性剤を用いるなどの手法を開発すると共に、成長時に金ナノロッドの直径、長さ両方について、そのサイズ決定メカニズムを解明し、One-pot での合成へと改良するなど、さらなる技術発展を進めておられます。JST さきがけ研究者として精力的に活動されている点も評価されました。
村上氏は、微粒子からなる界面吸着膜がエマルションや泡などの分散系を安定化することについて著名な業績を挙げられたことが評価されました。特に、表面性状が温度やpH などの外部刺激に応答する微粒子を用いて、その安定化エマルションや泡の性質を制御できることを見いだしています。さらにドライリキッド(液滴が空気中に分散される系)の形成とその安定化要因を解明し、化粧品、医薬品、食品分野への新規応用を可能とする革新的技術を確立しておられます。これらの成果は、Nature Material 誌などに掲載され、引用回数が非常に多いところも評価されました。
技術奨励賞には、世界的に高く評価される極めて高い新技術を開発された方、論文が多く学術的な貢献も高い方、非常に多くの技術を開発され多くの特許を有する方、と、タイプの異なる応募者3 名が対象となり、慎重に審査を行いました。総合的に検討を行った結果、エレクトロニクス材料、医薬・診断、機能化学材料など、分野を跨いで多くの技術開発を行い、特許を取得された点が高く評価された五十島氏が、選出されました。
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